タイ下院選挙、野党が勝利!でも、今後の政権運営は?【2023.5】

タイ下院選挙、野党が勝利!でも、今後の政権運営は?【2023.5】

さて冒頭の話題…、悩んでいます…。
傾向が多いK国の話題、ネタが尽きないので良い事なんですが毎回K国ネタでは流石に飽きます…。
そして同様に日本ネタも…。
と言う事で、今回は割愛しますw


5月14日(日)に行われたタイでの下院選挙選、日本の衆議院に当たります。
そして即日投開票で行われ開票率99%の状況で、野党第2党だった「前進党」が第1党に、そしてタクシン派の「貢献党」も議席を伸ばし第2党が確定の様です。
上位2党が野党(タクシン派・反軍派)独占、一方分裂選挙となった親軍派は大きく議席を減らしました。

反タクシン派が支持基盤とする富裕者層、上位陣はC国に劣らず桁違いの資産を持っている様ですね。
しかし、富裕者層と低所得者層の人数割合を見れば一目瞭然、タイでは圧倒的に低所得者層の方が多いです。
そして中間層を呼ばれる人の割合が少ない、まさに格差社会のタイ国内です。
そしてタイ観光産業と外貨獲得の屋台骨ともいえる性産業従事者の社会的地位に関する議論、この扱い次第では今後娯楽施設の有り方も変わってくるかも!?

野党の躍進と危機問題!?

選挙戦後半、支持率調査で鰻登りとなっていたのが若者らからの指示を集め今改選で第1党となった「前進党」でした。
今まで野党だったと言う事はタクシン派で反軍派、民主化政党でしたが「貢献党」と実は違う所が…。
主な公約が
①不敬罪の改正、②徴兵制度の廃止、となります。
そうです、今までタブーとされてきた王室批判や侮辱発言、更に王室改革を訴えている事です。
この①はタクシン派「貢献党」が消極的とされています。

そして第1党となった理由もタイの象徴とされる王室に対しての国民批判からです。
前国王のP国王は国民から絶大なる信頼を得て立憲君主制を維持し崇拝されてきました。
更に軍事クーデターにより当時のタクシン元首相を失脚に追いやった際、陸軍司令官がP国王へ跪いて報告。
これを見た国民の約90%が「軍事クーデターを支持する」とした位、それぐらい絶対的地位にいたP国王。
しかし今のW国王、ご存じの様にコロナ禍真っ只中に居たのはタイ国内ではなく海外(ドイツ)、更に愛人約20人を伴って行っていたから実に評判が悪い。
その後も一時帰国はするものの、直ぐにドイツへトンボ帰りと言う始末、流石に出入国制限をしているドイツも世間から大バッシングと散々な出来事でしたね。
そして過去には愛人に「チャオクンプラ(高貴な配偶者)」の称号を100年ぶりに与えた事も、しかし数ヶ月足らずではく奪すると言う結果に。

挙げればきりが無いW国王の痴態、それが今回の様な結果に繋がりました。
バンコクで今でも行われている「反政府集会」、表向きは現政府への不満、しかしその先に「王室批判」が有りましたからね。

でもまだ安心できません、政権与党となるのはどこの党なのか?軍政が続くかどうか?の問題です。
もし軍政が継続された場合、反軍政党は裁判所から「解散命令」が出される過去の事例が有りますからね…。

と言う事で、事前の世論調査ではタクシン派(貢献党)支持率が40%強とされていた下院選挙戦、結果は野党第2党だった「前進党」が大きく躍進すると言う結果に。

果たして今後の政権運営は?

親軍派が分裂し行われた今回の下院選挙、単独過半数を獲得した政党は有りませんでした。
ここで言う「過半数」、過去記事で述べている様に今回の下院選500議席と親軍派指名の上院議員250名を含めた数で首相指名選挙が行われ、その半数375議席が「過半数」となります。
しかし、野党の「前進党(151議席)」と「貢献党(141議席)」が第1党と第2党になったのは間違い有りません。
可能性として大きいのはやはり反軍派同士の「前進党」と「貢献党」の連立政権、しかし両議席を足しても約300議席弱とまだ過半数はには遠く及ばず。
更に先に述べた様に「王室」に絡めた公約については双方一致していませんので、この問題をどう解決するのか?

一方の親軍派、「国民国家の力党(40議席、反P首相派)」と「団結国家建設党(36議席、親P首相派)」。
これに上院数250議席を足しても約330議席程度とやはり過半数に及ばず。

野党側が政権奪取するには既に250議席のアドバンテージが有るため獲得議席の多い他党と(親軍派か他野党)と更に連立を組むしか有りません、これは親軍派も同様です。
それとも親軍派の力党が民主化に寝返るのか?

国民の総意としては反軍派が支持されました、しかしまだ政権与党は流動的で何ら確定していません。
今後、国王により国会召集され決まる事となります…よね!?

因みに、記事中の()内の数字は非確定数字になっていますので参考程度で宜しくお願い致します。

どうなる、軍事クーデターの有無?

選挙投票日2~3日前、軍事クーデターに関する質問をされた陸軍司令官が明言していました。
「私が軍司令官であるか限り軍事クーデターは起きない」と。
これは「翻訳」によるニュアンスの違いも有ると思うのだが、「起きない」のか?それとも「起こさない」のか?
タイ軍に於ける陸軍とは事実上軍部の中でトップと言われており、故に「起こさない」が正しいと思う。
がしかしである、この陸軍司令官、今年9月で定年による退任との事です。
ものすごい綺麗な「オチ」だねw

過去、タイでは政情不安を背景に幾度となく軍事クーデターが行われてきました。
その根本の原因はやはり「民主化」を叫ぶ国民と「反民主化」を掲げる軍部による対立、そして親王室派の軍部の意向による事が大きかったと言う理由。
そして、現状で一番難しい問題が上院議員250名を指名している軍の影響力、これが無くならない限り…。

「セック〇ワーカー保護(風〇産業合法化)」は?

まず最初に言っておきます、春を売る事はタイでは違法です、非合法です!
GGB・BB・置き屋・GC、さらにマッサージ屋さんでの裏オプ、いずれも非合法です。
長期短期問わずタイに来て遊んでいる方達は違法行為をしていると言う事です、お間違いの無い様に。

この法案ついて、現野党側は「従事者保護の為」にも賛成の姿勢です。
やはり農村部での支持率が高い為そう言うと思いますし、腐敗が根付いた政権を変える為にも大事な事です。

一方与党側は反対の立場です。
「春を売る行為は性詐取だ!」「近隣諸国からの労働者が溢れ治安が悪化する!」等々言って反対しております。
しかし本質的理由は別に有ると思います、言わずもがな賄賂に絡む警察官の「利権」を手放したく無いと言う理由です。

只、与野党共にこの話題に一切触れないで選挙戦を戦って居た政党も多かった様で…。
対外的にはタイでは存在しないとされている〇俗産業ですから、タイならでは敏感な問題ですね。

しかし国としては合法化する事で税収は増えると思いますので良い法案だと思います。
何故なら顧客がママに支払っていたPB代が警察官から国(県)に行く事になるから。
タイのGDPは公式発表よりもっと多く、更には観光産業が占めるGDPの割合はもっと多いはずですw
そして合法化する事でママさんの実入りも少なくなる可能性も…、つまりPBの「値上げ」に繋がる可能性も秘めており、案外他人事では済まされない非常に重要な問題なんです↷

まとめ

さて、問題の政権与党は直ぐに結果が出そうも有りません。
そして、クーデター有無は10月以降に先送りと言う事になりそうです!?

親王室派の陸軍が今回の選挙結果を受け止めどう判断するか、そして今後どう出るのか?

そしてもう1つ、各党が公約に掲げていたバラ撒き政策の行方。
コロナ禍で財政支出が膨らんだのは日本を含めた経済大国だけでは有りません、タイも同じです。
公約に掲げ実行したとしても財政基盤が脆弱なタイ、財政不安から1998年以来のアジア通貨危機の様にならなければいいのですが…。
あのイギリスでさえバラ撒き政策・減税対策を訴え実施しようとした事で金融不安となり、方針撤回後首相退陣にまで繋がる結果に。

そしてタイの政治よ日本の政治で大きく違う所は、それは「与党の受け皿」となる野党の存在感が強い事。
日本の与党自民党では何も変わらない、一部既得権益者による利権独占だけでなんら国民に寄り添わない日本の政治、二大政党制はやはり重要ですね。
自民党は他の受け皿が無い事で今まで天狗に、そんな状況の今、国政政党として頭角を現してきたのが「維新の会」、流石に危機感を露にし始めた自民党執行部、「遅きに失する」で無ければ良いですねw

本日もご愛読頂きありがとうございました。